COLUMN

樹脂タンク製造(エクスパンションタンク・燃料タンクなど)

日本容器の樹脂タンク製造

日本容器では、エクスパンションタンク、燃料タンク、オイルタンクなどあらゆる用途の樹脂タンク製造を得意としております。試作・小ロットから量産対応まで広く承ります。
ブロー成形や射出成形をはじめとした成形技術のほか、タンクへの部品の埋め込み(インサート)にも対応いたします。
樹脂タンクの製造に関してお困りごとがございましたら、一度お気軽にお問合せください。

豊富なタンク製造実績

農機や汎用機を主軸とし、あらゆる業界のタンク製造実績がございます。求める形状や機能、軽量化等のご要望に応じて、最適な設計や材質選定のお手伝いをいたします。

 

全数リークテスト実施可能

タンクにとって致命的なのは、タンク内の内容物が外に漏れ出してしまうことです。当社では完成品のリークテストも承っており、必要に応じて全数検査にも対応いたします。成形から検査まで一貫してお任せいただけます。

ホース取り付けや部品埋め込みに対応

タンクと接続が必要なホースや、ネジ等の金属部品の埋め込み(インサート)にも対応可能です。タンク自体の成形だけではなく、その他必要な部品も一式組み込んだ上でご提供いたします。

樹脂タンクの基礎知識

樹脂タンクについて

樹脂タンクは、主に高密度ポリエチレン(HDPE)やその他のプラスチック材料から製造されたタンクで、液体や気体を貯蔵・運搬するために使用されます。様々な形状やサイズで製造され、燃料、化学物質、食品など多岐にわたる用途で活用されています。

 

樹脂タンクの特長と利点

樹脂タンクが広く利用される理由には、いくつかの重要な特長があります。まず、樹脂タンクは金属製タンクと比較して非常に軽量であり、輸送コストの削減や設置作業の効率化に貢献します。特に大型タンクの場合、この軽量性は取り扱いの容易さにつながります。次に、樹脂は酸や塩基などの化学物質に対して優れた耐性を持ちます。これにより、保管する液体による腐食や劣化を効果的に防ぎ、タンクの寿命を延ばすことができます。さらに、樹脂は成形性に優れているため、複雑な形状や限られたスペースに合わせたカスタマイズが可能です。この特性により、様々な産業や用途に展開できます。

主要な樹脂タンクの材質

樹脂タンクの製造には、いくつかの主要な材料が使用されています。
最も一般的に使用される樹脂は高密度ポリエチレン(HDPE)で、化学的安定性と耐薬品性に優れています。比較的低コストで製造でき、リサイクル性も高いため、環境に配慮した選択肢となっています。
また、ポリプロピレン(PP)はHDPEよりも高い強度と耐熱性を持ち、高温の液体や特定の化学物質の保管に適しています。特に工業用途や特殊用途のタンクに使用されることが多いです。

樹脂タンクの製造方法

タンク製造におけるブロー成形

ブロー成形は、タンクを製造する際に特に利用されている方法です。このプロセスでは、プラスチックを溶融させてチューブ状(パリソン)に押し出し、閉じた金型内に配置します。その後、圧縮空気を吹き込むことでパリソンを膨張させ、金型の形状に合わせて成形します。ブロー成形の主な利点として、比較的シンプルな金型構造で製造可能であること、材料コストの削減が図れること(中空構造のため使用樹脂量が少ない)、そして様々な形状に対応できる柔軟性を持つことが挙げられます。

樹脂タンクの成形プロセス詳細

樹脂タンクの製造プロセスは、通常いくつかの段階で進行します。最初に材料準備として、選択した樹脂ペレットを加熱して溶融状態にします。この際、必要に応じて添加剤や着色剤を混合することもあります。次に成形工程では、ブロー成形機を使用して、溶融した樹脂を金型内に配置し、圧縮空気を通して形状を整えます。金型の設計がタンクの最終的な形状と品質を決定する重要な要素となります。成形されたタンクは、形状を維持するために適切に冷却され、硬化させます。冷却の速度と均一性が製品の品質に大きく影響します。最後に仕上げ作業として、成形後のタンクには、バリ(余分な樹脂)の除去や表面処理などの仕上げ工程が施されます。必要に応じて、接続部品の取り付けや品質検査も行われます。

必要な設備と条件

樹脂タンクの製造には、いくつかの主要設備が必要です。樹脂を溶融し、押し出し、成形するためのブロー成形機は基本装置であり、タンクのサイズや複雑さに応じて、適切な能力の機械が選択されます。また、成形後のタンクを効率的かつ均一に冷却するための冷却システムも必須です。急速冷却と徐冷のバランスが重要となります。さらに、温度、圧力、タイミングなどのパラメータを精密に管理するための制御システムは、安定した品質の製品を継続的に生産するために不可欠です。

樹脂タンクのタイプと用途

樹脂タンクは多様な用途で活用されています。家庭用雨水タンクは環境配慮型の設計で、水資源の有効活用に貢献します。耐候性と耐久性が求められるこの用途では、長期間の屋外使用に耐える材質選定が重要です。農業用液体肥料タンクは化学物質に対する耐性と、野外での使用に耐える頑丈さが特徴で、様々な気象条件下での使用を想定した設計がなされています。工業用化学薬品タンクは厳格な安全基準と耐薬品性に対応した特殊設計がなされており、保管する化学物質の特性に合わせて材質選定が行われます。さらに、食品・飲料用タンクは食品安全規格に適合した無毒性材料で製造され、衛生面での高い基準を満たしているのが特徴です。

タンク製造技術の比較:ブロー成形と射出成形

ブロー成形と射出成形の基本的な違い

樹脂タンク製造において、ブロー成形と並んで重要な技術が射出成形です。両者には基本的な違いがあります。ブロー成形は、中空製品を製造するのに適した技術であり、溶融樹脂をパイプ状に押し出し、内部から空気を吹き込んで膨らませる方法です。タンクやボトルなどの製造に適しています。一方、射出成形は、溶融した樹脂を高圧で金型内に射出して成形する方法です。複雑な形状や精密な部品の製造に優れていますが、中空構造の製造には追加的な工程が必要となります。

・追加的な工程:熱板溶着など

各成形方法の利点と適用場面

ブロー成形と射出成形はそれぞれ異なる利点を持っています。

ブロー成形は金型製造コストが比較的低く、大型中空製品の製造に適しており、材料使用量の削減による経済性や単一工程で中空構造を形成できる効率性を持ちます。
対照的に、射出成形は高精度な製品製造が可能で、細部まで精密に再現でき、大量生産時の品質安定性が高く、多様な材料選択肢があるという特徴を持ちます。樹脂タンクの用途や求められる特性に応じて、これらの製造方法が選択されます。

例えば、複雑な内部構造を持つ小型タンクには射出成形が、単純な構造の大型貯蔵タンクにはブロー成形が適していることが多いです。タンク設計の初期段階で製造工程を適切に選定することが、最終製品の品質とコスト効率に大きな影響を与えます。

まとめ

樹脂タンクは、その軽量性、耐腐食性、デザインの自由度から、様々な産業分野で重要な役割を果たしています。高密度ポリエチレン(HDPE)をはじめとする多様な材料と、ブロー成形や射出成形などの製造技術の発展により、より効率的で環境に配慮したタンクの製造が可能になっています。農業、家庭用途、工業用途など、それぞれの分野に特化した樹脂タンクの設計と製造は、今後も技術革新を続け、さらなる進化を遂げていくことでしょう。特に環境面での持続可能性や製造効率の向上が、今後の樹脂タンク産業における重要な課題となっていくことが予想されます